ザンビアへの投資の現状と留意点 JICAアフリカ地域投資促進支援業務 ザンビア投資促進アドバイザー 小西 悟 2017年6月
若年層の割合は過半数を占め 若年層の割合は過半数を占め、 人口も増加傾向にある。 2060年までの人口予測
百万人
3,500
アフリカの人口構成
東南アジアの人口構成
100+
100+
3,000
90‐94
90‐94
2,500
80‐84
80‐84
70‐74
70‐74
60‐64
60‐64
50‐54
50‐54
40‐44
40 44 40‐44
500
30‐34
30‐34
0
20‐24
20‐24
10 14 10‐14
10 14 10‐14
0‐4
0‐4
2,000 1,500 1 000 1,000
サブサハラアフリカ
中国
南アジア
インド
東南アジア
出所:国連経済社会局人口部
0
100
200
0
50
100
百万人
百万人
注:いずれも2015年現在
1
アフリカ大陸におけるザンビアの位置
2
ビクトリアの滝
3
投資促進アドバイザーの略歴 1988年~1993年: ザンビア丸ノ内自動車出向(三菱商事子会社) 1999年~2013年: 三菱商事ヨハネスブルグ支店駐在 2000年~2007年: MMC Auto Africa社(三菱車の輸出専門会社)社長(兼任) 2002年~2004年: ザンビア丸ノ内自動車社長(兼任) 2013年~2015年: JETROアフリカ中小企業進出支援専門家
4
投資促進アドバイザーの業務 2015年7月~2017年6月: 投資促進支援 JICAザンビア投資促進支援アドバイザー ‐投資に係る現状整理と情報整理 外国投資誘致に向けた支援 ‐外国投資誘致に向けた支援 ‐投資促進機関の能力強化
5
ザンビアの魅力 安定的な政治体制
アフリカで最も安全な国の1つ
1964年10月24日(東京オリン ピックの閉会式)の独立以 降 戦争や紛争の経験なし 降、戦争や紛争の経験なし。 全ての政権交代が民主的で 平和裏に行われている。 平和裏に行われている
北ローデシア (イギリスの植民地)
ザンビア共和国 緑が濃いほど平和なことを示し、 緑が濃いほど平和なことを示し 赤が濃いほど平和から遠いことを示す。 6
ザンビアでもアフリカ大陸全体の傾向と同様、 ザ ビ も カ大陸全体 傾向と 様 若年層が過半数、人口も増加傾向である。 人口予測 万人
5,000 4,500 4,000 3 500 3,500 3,000 2,500 2 000 2,000 1,500 1,000 500 ‐
人口構成(2015年) 80+ 75‐79 70‐74 65‐69 60‐64 55‐59 50‐54 45‐49 40‐44 35‐39 30‐34 25‐29 20‐24 15‐19 10‐14 5‐9 0‐4 0
100
200
300
400
万
出所:国連経済社会局人口部
しかし単独の市場規模としては小さい しかし単独の市場規模としては小さい… 7
東西南北をつなぐ要衝の地 東のタンザニア、モザン ビークから西のアンゴラ、 ナミビアまでを結ぶ東西回 廊と北のコンゴ民から南の ジンバブエ、ボツワナ、更 には両国を経て南アフリカ までを結ぶ南北回廊を十 文字に結ぶ中心がザンビ アである。 (上)南北の線 (右)東西の線 出所:AfDB
1.南部回廊:南アフリカ~ジンバブエ/ボツワナ~ザンビア 2.ナカラ回廊:モザンビーク~マラウイ~ザンビア 3.マプト回廊:モザンビーク~ジンバブエ/ボツワナ~ザンビア 4.ウォルビスベイ回廊:ナミビア~ザンビア 5.ベイラ回廊:モザンビーク~ジンバブエ~ザンビア 6 タザラ回廊:タンザニア~ザンビア 6.タザラ回廊:タンザニア ザンビア 7.ロビト回廊:アンゴラ~コンゴ民~ザンビア 8
2016年の鉄道建設計画 11月3日付Daily Mail Chingola⇒Solwezi鉄道建 設。2017年1月建設開始予 定。 AfDB及びDevelopment Bank of Southern Africaが finance供与 ザンビア政府 finance供与。ザンビア政府 は30%出資。
11月3日付Ti 11月3日付Times of f Zambia Chipata⇒Serenje線を建設 し、Tazara鉄道に連結。23 億ドル。先の中国―アフリ カ協力計画600億ドルを使 用。 これによりモザンビーク これによりモザンビ ク (ナカラ港)⇒マラウイ⇒ザ ンビアのナカラ回廊が繋 がる。
11月14日付Daily Mail Bombardier 鉄道部門(ス ウェーデン)がザンビア政 府と連携し、Zambia 府と連携し、Zambia Railways Limitedの再生支 援計画。本年中にスウェー デンミッションが来ザ予定。 出所:SADC
線路状況 判例 緑:Good 黄色:Fair 赤 P 赤:Poor 灰色:Not in use 9
近隣諸国を含めて考える。 2015年時点での人口 アフリカトップ20カ国 国名 1 ナイジェリア 2 エチオピア 3 エジプト 4 コンゴ(民) 5 南アフリカ 6 タンザニア 7 ケニア 8 アルジェリア 9 ウガンダ 10 スーダン 11 モロッコ 12 モザンビーク 13 ガーナ 14 マダガスカル 15 カメルーン カメル ン 16 アンゴラ 17 コートジボワール 18 ニジェール 19 ブルキナファソ 20 マラウィ
2015年 183,523 98,942 84,706 71,246 53,491 52,291 46,749 40,633 40,141 39,613 33,955 27,122 26,984 24,235 23 393 23,393 22,820 21,295 19,268 17,915 17 309 17,309
色のついている国はザンビアの近隣諸国
特にコンゴ(民)を市場として考え るだけで約1億人市場になる。 6
5
4 3.15 2.85
3
2.56 2.28
2 1.37
1.57
1.79
2.02
1 0.71 0
0 16 0.16
億人 ザンビア
0.81
0.92
1.04
0 18 0.18
0 21 0.21
0 25 0.25
コンゴ(民)
1.29
1.42
1.55
0.29 0.34 0.29 0.34
0.39 0.39
0.44
1.16
その他ザンビア近隣国
出所:国連経済社会局人口部 10
コンゴ民とザンビアの関係 コンゴ民輸入額に占める ザンビアの割合
コンゴ民カタンガ州との位置図
20% 18% 16% 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0%
出所:UNCTAD 11
旧カタンガ州及び 国境の街カスンバレッサ 旧カタンガ州人口は1,500万人。 同州と首都キンシャサとを結ぶ国 内道路網は実質寸断されている。 したがって、同州への物流は隣接 するザンビアを介した南アフリカ ダーバン港若しくはタンザニアの ダルエスサラーム港となる。 つまり、ザンビアの人口1,500万人 +旧カタンガ州の人口1500万人 =3,000万人の市場となる。
12
ザンビアを中心とした面的な 進出事例 <カービュー株式会社> ヤフー株式会社の子会社。 2016年にCarview Zambia社を設立。 実店舗による中古車の販売開始。 8千万人(将来的には1億人)市場であ るコンゴ(民)への進出も見据えたザン ビア進出。
2016年5月ショールーム開所式
13
ザンビアを中心とした面的な 進出事例 <日立建機株式会社> ザンビアコッパーベルト州を中心に、 コンゴ民旧カタンガ州やモザンビーク 石炭会社も管轄。 石炭会社も管轄 同社製品に係るアフターサービス、機 実 械再生等を実施。
14
日系企業は拠点国を中心に アフリカに進出し始めている。 国名 南アフリカ
企業数
比率 275
40.0%
エジプト
49
7 1% 7.1%
ケニア
47
6.8%
モロッコ
45
6.6%
ナイジェリア
32
4 7% 4.7%
モザンビーク
27
3.9%
タンザニア
23
3.3%
ガ ナ ガーナ
22
3 2% 3.2%
チュニジア
16
2.3%
セネガル
14
2.0%
ザンビア
12
1 7% 1.7%
アルジェリア
12
1.7%
ウガンダ
12
1.7%
アフリカ合計
687
100%
出所:外務省 15
南アフリカからどこに行くか アフリカに進出している日系企業 が利用しているFTA・関税同盟
2050年の人口予測 国名 1 ナイジェリア 2 エチオピア 3 コンゴ(民) 4 タンザ タンザニア ア 5 エジプト 6 ウガンダ 7 ケニア 8 スーダン 9 ニジェール 10 南アフリカ 11 モザンビーク 12 マダガスカル 13 アルジェリア 14 アンゴラ 15 カメルーン カメル ン 16 ガーナ 17 マリ 18 ザンビア 19 モロッコ 20 コ コートジボワール トジボワ ル
2050年予測(万人) 44,036 18,757 15,529 12,942 12,180 10,408 9,717 7,714 6,941 6,341 5,993 5,550 5,452 5,432 4 860 4,860 4,567 4,517 4,421 4,288 4 234 4,234
0
%5
10
15
20
25
30
35
40
45
50 48.9
南部アフリカ開発共同体(SADC)
24.4
欧州自由貿易連合(EFTA)・SACU自由貿易協定
22 2 22.2
等南部アフリカ共同市場(COMESA) 地中海諸国(エジプト・チュニジア等)とEUの連合協定
17.8
EU・SADC自由貿易協定
17.8
大アラブ自由貿易地域(GAFTA)
11.1
東アフリカ共同体関税同盟(EAC)
11.1 8.9
南ア‐EU貿易・開発・協力協定(TDCA) その他の協定
4.4
アガディール協定
4.4
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)
4.4
西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)
N=45
2.2
出所:JETRO
出所:国連経済社会局人口部
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南アの次の一手としてザンビ 南アの次の 手としてザンビ アを活用する事例 <進出の背景/理由>
<課題と取り組み>
新興国での汎用塗料の事業拡大のため(日本⇒南アフリカ⇒ザン ビアで進出)。
合併や買収で進出を進めるにあたり、なによりも信頼できるパート ナーを見つけることが課題になる。
アフリカに関してはまだ欧米のプレーヤーも少ないので、まずはいち 早く進出して、ブランドを立ちあげ、「カンサイ」の知名度を上げるた め。
現地の商習慣、ネットワークを知り尽くしている現地の人材を活用し た現地化を推進する。 但し、ア リカ 但し、アフリカと一言にいっても地域ごとにかなり文化が違うことに 言 も地域 なり文化 違う は留意が必要(例:南アは白人中心だが、東部アフリカは印橋社 会)。
<進出の決め手> 人口規模が大きい。 将来的にGDP成長率が見込まれる。 信頼できる制度化(例:上場制度、知財関連制度)が進んでいる。 周辺国を含めた地域拠点として機能している。 地域のネットワークを持っている信頼できるパートナー企業が見つ かった。
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南アフリカからあと一歩先に 南アフリカに進出済みでザンビアに進出している企業
豊田通商株式会社
→この後にプレゼン
関西ペイント株式会社
→この後にプレゼン
日本電気株式会社 富士フイルム株式会社 株式会社小松製作所
18
まとめ ・ザンビアは、インド洋ダーバン港、ダルエスサラーム港等より1,000Km超離れた内陸 国。物流コストが高くland Locked Conutryと呼ばれてきた。 ・近年ではこのチャレンジを逆手に取り、ザンビアに隣接する8か国との距離的近さを利 用したInter related countryとして8か国との物量の可能性を追及する動きが顕著となっ てきた。 ・この一環が現在も8千万の人口を抱えるコンゴ民、特に首都キンシャシャとは同一国で ありながら物流の途絶えている旧カタンガ州を「ザンビア・カタンガ同一経済圏(3,000万 人市場)」として捉えた動きが期待されてきた。 ・コンゴ民は鉱物資源にも恵まれ、特に旧カタンガ州にはアフリカ第1位の生産量を誇る 銅、他の鉱物資源が有し、これらのロジはほぼ全てザンビア経由となっている。 ・今後南アフリカ資本を中心としたザンビアを通じたコンゴ民旧カタンガ州商圏の獲得、 今後南アフリカ資本を中心としたザンビアを通じたコンゴ民旧カタンガ州商圏の獲得 強いては更なるアフリカ内陸部への進出が考えられる。2020年代以降アフリカは大きく 人口を増加させる。残された大消費市場への橋頭堡を構築する観点からも、南アフリカ 及び更なる前線基地ザンビアの2拠点を意識したアフリカ戦略が視野に入って来よう。
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ご清聴ありがとうございました
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